International Society of Life Information Science (ISLIS)

Journal of International Society of
Life Information Science (ISLIS)

31巻、1号、2013年3月号

要旨 


[原著論文] Peer-Reviewed

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.7)
太極拳練習者の脳波測定によるポジティブ感情とフロー体験の関係

飯田健次1、小熊祐子1,2
1慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科
2慶應義塾大学スポーツ医学研究センター
要旨:
本研究は定期的に太極拳練習を行っている男女を対象に脳波(Electroencephalogram: EEG)によるポジティブ感情(積極快)と、質問紙調査によるフロー体験の関係を調査した。積極快と質問紙調査で得られたフロー値との相関は、上級者では有意な相関が見られたが、初心者では有意な相関が見られなかった。さらに、同対象者に対して2年間の縦断研究を行ったところ、上級者は積極快の切片がすでに高く2年間に有意な変化は見られなかったが、初心者は積極快の切片は低かったため2年間に有意な変化が見られた。
Keywords:
electroencephalogram (EEG), positive emotions, flow experience, Tai chi

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.17)
フィールド意識のシグナル波長の探究:映画館でのフィールドRNG実験

清水 武、石川 幹人
明治大学 情報コミュニケーション学部
要旨:
フィールドRNG研究は、多数の人々が同一のイベントに注目するとき乱数生成器によるビット出力のカイ二乗統計量に特異な自己相関が生じることを示してきた。そこで本研究は、フィールド意識に特有のシグナル波長が存在する可能性を提起し、イベント時のカイ二乗値を計算する際の試行のインターバルの長さを拡張する分析方法を提案し、従属変数を単変量のスカラーからベクトルへと拡張することを方法論的に試みた。予想される結果として、複数のインターバル別に集計した平均ベクトルに対して、フィールド意識の波長により適したインターバル長で偏りが大きくなること、また観客数との相関が強くなることが挙げられた。本研究は、今後の実験計画に役立ちうる予備的検証段階のひとつとしてフィールド実験を実施し、アニメ映画「けいおん!」を上映した映画館で13回のくり返し測定の後、標準化したカイ二乗値ベクトルをMANOVAにより検定した。結果は、切片値、インターバル長、生成スピード、およびこれらの交互作用項のいずれの有意ではなかった。一方で、従来の1秒集計値において聴衆の人数との相関が最大化し (r = .57,N=13)、フィールド意識のシグナル波長が1秒近辺に存在する可能性が示唆された。最後に、今後の課題が議論された。
Keywords:
MMI、インターバル長、 Psyleron、けいおん!、萌え

【理事長報告】
(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.30
国際生命情報科学会 (ISLIS )の17年半と「潜在能力の科学」の推進

山本 幹男
国際生命情報科学会 (ISLIS) 理事長・ 編集委員長1
国際総合研究機構 (IRI) 理事長2
超党派 国会議員連盟 人間サイエンスの会(NS) 世話人代表2
(東邦大学 理学部 訪問教授)
要旨: 国際生命情報科学会(ISLIS:イスリス)の1995年創立から17年半の活動と人間等の「潜在能力の科学」の推進について報告する。設立趣意は、
  物質中心の科学技術から、こころや精神を含んだ21世紀の科学技術へのパラダイム・シフトのための、実証的科学技術研究の発展、「潜在能力」 等の不思議現象の原理解明、「潜在能力」の開花により、健康、福祉、教育と社会および個人の心の豊かさを増進させ、自然と調和した平和な世界 創りに寄与する事である。創立以来、「生命情報科学シンポジウム」を年2回、計35回主催し、国際学会誌Journal of International Society of  Life Information Science (Journal of ISLIS )を年2号定期発行し続けてきた。2002年には「潜在能力の科学国際シンポジウム」を、2004年には 韓国ソウ ルで「Mind Body Science国際会議」を主催した。2004年には単行本「潜在能力の科学」を発行した。第7回サイ会議が統合的スピリティスト大 学,ク リチバ, ブラジル,とISLISの共催にて, 2011年8月にブラジル・クリチバ市にて開催された。この間不思議現象「潜在能力」の存在の科学的実 証 には多くの成果を挙げた。現在世界の11カ所に情報センターを、約15カ国に約230人の会員を有す。近年は、毎年3月は横浜国立大学にて大会を 、毎夏主催の合宿の7回目は、2013年8月には富士山麓で開催する。
Keywords:
国際生命情報科学会、ISLIS、心、意識、精神、スピリチュアル、代替医療、CAM、統合医療、IM、免疫、自然治癒、健康、潜在能力、能力開発、自己啓発、美容、催眠、瞑想、気功、ヨーガ、超常現象、超能力、超心理、臨死、死後生存、世界像、世界観、不思議

[研究発表論文] Without Peer-Review

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.34)
両耳聴性変則音刺激と変性意識


河野貴美子1、坂本政道2、世一秀雄1、高木治1、小久保秀之1、山本幹男1
1.国際総合研究機構(IRI) 生体計測研究所
2.(株)アクアヴィジョン・アカデミー
要旨:
意識探究プログラムとして知られるヘミシンクは、左右の耳にわずかに異なる周波数の音を聞かせることにより、深くリラックスした状態を作り出し、通常と異なる意識状態に導くことが容易な方法とされている。著者らは、今まで様々な変性意識状態下の脳波を検討してきた。今回、5名のヘミシンクトレーナーの脳波計測からヘミシンク聴取による脳の変化を検討することを試みた。後頭部の波平均振幅値は、セッション中に減少し、軽眠を思わせたが、各帯域含有率で、帯域における比率が大きく減少していたわけではなく、通常の入眠時とは異なると思われた。帯域含有率はフォーカスレベルF10とF12で、交互に変化する様子が見られ、刺激音のうなり周波数との関係を示唆させた。左右脳波のコヒーレンス値が聴取時に大きくなる傾向が見られたが、セッション中に後頭から前頭にかけて位相同期的な瞑想様脳波が見られた被験者も複数おり、瞑想に近い状態を容易に実現することで、コヒーレンスが高くなっていることも考えられた。

Keywords:
脳波、波、波、波、ヘミシンク、Binaural Beat、コヒーレンス

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.40)
咀嚼によるストレス軽減効果

橋爪 秀一1,2、河野 貴美子2,3、小久保 秀之2,3
山本 幹男2,3、桂川 秀嗣2、鎌田 明彦2,4、渡辺 恒夫2
1Idea-Creating Lab
2東邦大学理学部心と生命の環境学研究センター
3国際総合研究機構
4アイリテック株式会社
要旨:
咀嚼のストレス軽減効果を、心理生理学指標である皮膚伝道水準(SCL)と心拍(HR)とを用いて評価することを試みた。10名の大学生が被験者として参加し、先ずは3分間の安静の後、7分間の内田クレペリン検査及び4分間の暗算により、ストレスを負荷した。その後、咀嚼の有無条件でのガム摂取或いはコントロールとしての水摂取を5分間行った後、椅子に静かに座ることによる安静を10分間行った。RussellとLaniusの気分特性モデル(Russell and Lanius model of the affective quality)により解析した結果、咀嚼ありのガム摂取及び水摂取は、最初「興奮」をもたらすが、4分後には「リラックス」状態になった。更に、これら咀嚼ありガム摂取群及び水摂取群は、摂取後の10分間の安静により、「リラックス」レベルが更に高まった。一方、咀嚼無しのガム摂取群は、「興奮」状態を維持し、摂取中及びその後の10分間の安静においても「興奮」状態が持続した。最も高いストレス軽減効果を示したのは、咀嚼ありのガム摂取群であり、SCLに関しては咀嚼の有無により有意差が認められた。

Keywords:
咀嚼、ストレス改善効果、SCL、HR、RussellとLaniusの気分特性モデル


(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.45)

皮膚電位の季節変動

 足達義則1 、寺尾泰亮2
1中部大学 
2名古屋製絡梶@
要旨:
良導絡の考えを用いたノイロメーターやAMIで体の状態を調べる診断方法が提案され、診療や治療に貢献している。これらは、手や足のツボでの電気伝導度を測っているが、測定された値そのものの日内変動や季節変動については、それほど重点が置かれていると思われない。本研究では、皮膚電位を手の労宮穴で測定し、季節変動の大きさを求めるとともに、変動が何に起因しているかを考察することにした。その結果、単に気温や気圧の変動だけでは説明できない特徴的な皮膚電位の季節変動が見られ、気温や気圧だけではない因子の存在の示唆を確認した。

Keywords:
皮膚電位、季節変動、気圧、気温、自律神経

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.52)
非接触ヒーリングにおける生体センサの反応パターン:
ガス測定法・蛍光測定法による分析   
小久保 秀之1,2、薄井 孝子3、嶋原 兆子4、南 愛梨3
高木 治1、河野 貴美子1、山本 幹男1
1 国際総合研究機構(IRI) 生体計測研究所
2 明治大学 意識情報学研究所
3 ユリア心理サポートオフィス
4 カリフォルニア臨床心理大学院 日本校
要旨:
筆者らは2006年以来、白いぼキュウリ切片を生体センサとする非接触ヒーリングパワーの定量的研究を行っている。本稿では、筆者らの開発した蛍光測定法とガス測定法を用いて、ヒーリングに対する生体センサの応答を検討した。被験者は公募したヒーラー8名(男1名、女7名、平均年齢42.0歳)で、各ヒーラーとも2試行ずつ30分間の非接触ヒーリングを行った。ただし、第1試行と第2試行でヒーリング方法を変えるよう指示した。結果、ガスJ値と562nm蛍光J値は第1試行がJG=0.061、JF=0.051であったのに対し、第2試行はJG=−0.096、JF=−0.194となった(p=0.00037, p=0.002)。また、既報のデータと併せてセンサの反応パターンをクラスター分析した結果、判別的中率83%の判別関数が得られた。
Keywords:
非接触ヒーリング、クラスター分析、ガス測定法、蛍光測定法、白いぼキュウリ、Cucumis sativus ‘white spine type’、判別関数
含有率

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.61)
「与える喜びの心理学」 ポジティブ心理学第二世代

尾崎 真奈美
相模女子大学 人間心理学科
要旨:
本稿は、従来のポジティブ心理学における限界を指摘し、超越的視点から幸福に関する理論と実証研究を紹介し、「与える喜びの心理学」としてポジティブ心理学第二世代を提言するものである。ポジティブ心理学は、個人の強みを強調し、弱みは克服して行くべきだという暗黙の前提に立っているように見られる。ここでは、まず宗教的文脈における究極の幸福モデルとして、弱さの中にある強さ、コントロールしないで明け渡すという態度について概観する。次に、臨床心理学における退行理論と、我々の311のPTG(トラウマ後の成長)研究に基づき、ネガティブさが成長に貢献するメカニズムを記述する。その後、向社会的行動が個人の幸福感を増進するという実証データと、大学授業内で実施している向社会的行動促進プログラムを紹介する。以上をふまえて、人間本来の性質である「与える喜び」の心理学を、ポジティブ心理学第二世代として提唱する。
Keywords:
ポジティブ心理学、スピリチュアリティ、インクルーシブ、超越、幸福,向社会的、愛他

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.67)
3.11震災の子どもたちの作文における心的外傷後成長(PTG) ―テキストマイニング研究より―

いとう たけひこ1、飯島 有紀恵2
1 和光大学 心理教育学科
2 相模女子大学 人間心理学科
要旨:
本研究の目的は、東日本大震災を経験した子どもたちの作文から、子どもたちの語りの特徴を明らかにし、Tedeschi & Calhoun (1996)の5要因の観点から心的外傷後成長(PTG)の存在と可能性を明らかにすることである。収集した作文169編のうち、小学校、中学校、高校に在学していることが明らかな161編を分析の対象とした。一人当たりの作文の文字数を表す平均行長は601.9文字であった。総文数は6,052文で、平均文長は16文字であった。内容語の延べ単語数は39,415で、単語種別数は6,465だった。未曾有な体験としての東日本大震災は、外傷、つまり危機的な体験およびそれに引き続く苦しみの中から、精神的な成長が体験されることがあるということが、子どもの作文の表現と内容から明らかになった。さまざまな悲劇を生み出した災害が、PTGを促進させるという面をもつことが明らかになった。

Keywords:
心的外傷後成長、自尊感情、災害、地震、津波、原発、ポジティブ心理学

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.73)
福島を忘れないために!  移動する放射性物質 
― 阿武隈川水系の放射能汚染調査、A市の土壌汚染・空間線量マップ、小鳥の森 サンクチュアリでは ―   


桂川 秀嗣1、山口 英俊2、五十嵐 悟3
1東邦大学 理学部 心と生命の環境学研究センター
2 SWR(株)(エス ダブリュ アール)
3 福島市小鳥の森 サンクチュアリ室
要旨:
2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の過酷な事故によって大量の放射性物質が、野に山にまた市街地域に降り積もった。これら放射性物質は、除染しないかぎり、最終的には川に流れ出ると考えられる。 われわれは阿武隈川水系の流域に沿って川の水、土壌、堆積物などの試料の放射能測定を行った。
また、阿武隈川流域にあって、多くの支流が阿武隈川に合流しているA市では300数十箇所で土壌の汚染調査が実施されている。また、2年に渡って同じ場所での空間線量調査が行われた。これらの結果から見えてきたものは何か?
さらにまた、いまだ福島市街地域に残る手付かずの自然について、福島小鳥の森の空間線量をGPSと連動させて詳細に測定した。そこでの野生生物への影響などを報告します。
Keywords:
福島第一原子力発電所、放射性物質、放射能汚染、阿武隈川、空間線量 

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.74)
うまれることの意味

池川 明
池川クリニック
要旨:
胎内記憶で語られる内容から、うまれることの意味を考察してみた。私たちがうまれる目的は「人の役に立つため」であり、そのためにうまれる場所、時間、両親を選んでくることが推定される。さらに流産、死産や障害を持つことさえも子どもの選択でうまれてくるらしい。この事から、私たちがこの世にうまれてくるのは、人の役に立つという目的のために最適なタイミングと状況を選んでいることが推測された。
Keywords:
胎内記憶、流産、死産、障害 

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.75)
統合医療へのスピリチュアルヒーリング導入の安全性に関する評価
シータヒーリングの施術中脳波、免疫能、感情変化の検討

串田 剛1、河野 貴美子2
1 横浜医療センター緑園丘の上クリニック
2 国際総合研究機構(IRI)
要旨:
潜在意識の信念体系を変えて病気の軽快をはかるエネルギーヒーリングやスピリチュアルヒーリングは日本の医療の分野での社会的認知度は低い。前回のISLIS大会でもシータヒーリングを紹介し、被検者側の施術中脳波、前後の免疫学的データPOMSによる感情変化データの中間報告を行ったが、今回はさらに症例を重ねて安全性、危険性について検討し、統合医療への導入方法について考察したので報告する。
Keywords:
シータヒーリング、統合医療、免疫、エネルギーヒーリング、スピリチュアルヒーリング

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.76)
エネルギー療法が前頭部の血流に与える影響

内田 誠也1、亀井 勉2、山岡 淳1、菅野 久信1、新田 和男1
1(一財)エム・オー・エー健康科学センター
2 長崎大学
要旨:
本研究の目的は、エネルギー療法が脳血流にどのような影響を及ぼすかを、ウエアラブル光トポグラフィを用いて評価することである。エネルギー療法は岡田式浄化療法(OPT)であった。健康成人14名(44.1歳、SD11.3)を対象とし、岡田式浄化療法を施術したOPT実験(15分間)と施術を行わないplacebo実験(15分間)との変化の差を調べた。OPT実験における施術時間は5分間であった。計測については、22chウェアラブル光トポグラフィを用いて、前頭部の酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビン、総ヘモグロビン量を計測した。その結果、左前頭部(15CH)におけるOPT実験の酸素化ヘモグロビン量が、Placebo実験の酸素化ヘモグロビン量より上昇する傾向にあった。またOPT実験脱酸素化ヘモグロビン量は、Placebo実験の脱酸素化ヘモグロビンより低下する傾向にあった。しかし、酸素化ヘモグロビンの上昇および脱酸素化ヘモグロビン減少の統計学的な有意な差は見られなかった。
Keywords:
Wearable optical topography, Oxyhemoglobin, deoxyhemoglobin, biofield therapy Okada purifying therapy
 

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.82)
中医気功入静法、刺絡療法と催眠療法の集学的治療により 顕著な改善をみた摂食障害の一例

崔舜翔1,2,3、亀井勉4,5,6、小林洋子7
1中医気功催眠療法研究所、2きゅいど整骨鍼灸院)、
3ヨーロピアン・ヴィアドリーナ大学、
4長崎大学産学官連携戦略本部、
5ライプツィヒ大学、
6明治国際医療大学、
7宮医堂
要旨:
目的】薬物を一切使わずに、気功入静法、刺絡療法と催眠療法の三者の同時導入により、摂食障害の諸症状の著しい改善が見られた一症例を報告する。【材料と方法】35歳、女性、幼児ごろより周りからのいじめ、未成年時の家出により、14歳から現在まで21年間摂食障害を患う。主な症状として、食事に対する恐怖心と罪悪感、人との外食や出勤時の食事ができず、仕事から帰宅すると暴食し、その自覚もなく、過食と嘔吐を繰り返す。また、20年以上の不眠症、左腹部の鈍痛感、呼吸困難に陥いたりする。鍼灸、整体、マッサージ、催眠療法、瞑想等各種治療法を試みたが、改善は得られなかった。2012年11月から、当院で気功入静法、刺絡療法と催眠療法と3つの組合せ治療を受ける。気功入静法は、徐々に時間を初回の15分から最長150分まで延ばし、呼吸法を行わずに、「人天合一、物我両忘」の虚無境界に入る方法を指導した。気功入静法のみを通じて摂食障害の要因ときっかけを探ることにした。刺絡療法は3回目以降から12正経の井穴に、自宅で週2〜3回程度に行うように指導した。催眠療法は、3回目から1回約20分行い、気功入静法を実践するにつれて健康意識が自然に高まるという一般的な暗示を入れた。【結果】治療開始から今までの2ヶ月間計9回の治療(1回治療3時間)を経って、現在嘔吐はまだ多少あるものの、食事量が過食時の三分の一まで減り、上記の諸症状すべてが消え、著しい改善が認められた。【考察及び結論】中医理論では、喜・怒・思・憂・悲・恐・驚などの感情が行き過ぎると、陰陽のバランスの崩れ、気血の運行の乱れと臓腑の機能失調をもたらし、疾病を起こすとされる。本人が5回の指導と治療によって気功入静法をマスターできたために、気功入静による心理的障害の除去と健康増進の効果が現れたと考えられる。また、全身12経絡への刺絡療法によって自律神経と体性神経の異常亢進を抑制でき、そして、催眠療法によって健康意識が高まった。この三つの療法の相乗効果によって行き過ぎた感情が調整されたことが陰陽と気血及び臓腑の機能の改善につながり、結果的に摂食障害の諸症状の顕著な改善につながったと考えられる。
Keywords:
医気功入静法、刺絡療法、催眠療法、集学的治療、摂食障害

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.84)

笑いアクションの心身のストレス軽減に関する研究

橋元 慶男
人間総合科学大学大学院
要旨:
近年、笑いがストレスを軽減したり、病態を改善するという実証研究が出されている。本研究は思考を伴う情動を捨象した笑いアクション自体の効果を20±0.45歳の大学生において検証した。暗算負荷によるストレスの軽減効果を笑いアクション群、軽度体操群、安静群の各20名で検討した。ストレス軽減効果は血圧、心拍数、唾液コルチゾール(生理指標)、POMS(心理指標)により判定した。ストレス軽減効果は分散分析で3群間に有意差があり、生理指標においても、心理指標においても笑いアクション群、軽体操群、安静群の順位であった。情動と独立に笑いアクションがストレスを軽減することを本研究は実証した。
Keywords:
笑いアクション、コルチゾールレベル、ストレス軽減、心拍数

【特別講演】
(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.86)
今後の医療の在り方

渥美 和彦
ISLIS 学術顧問
東京大学名誉教授
日本統合医療学会名誉理事長
要旨:
現代は、経済的にも、政治的にも、外交的にも混沌の状態といえる。 これは、東西文明が衝突し、新しい文明が誕生する夜明けであるからである。 キリスト教を軸とする科学主義の西洋文明と人間と自然の共生を軸とする和の東洋文明との融和である。西洋医学と東洋医学の統合医療はこの所産である。  2009年3月11日の東日本大震災は、人間の価値観を変えるとともに、医療の在り方を変えることとなった。
 治療中心の医療から、予防の医療へ、エネルギーを浪費する近代西洋医療からエコ医療へ、そして、自分の健康を自分で守るセルフケアへの変換である。これらは、今後の未来の医療の方向を指しているといえる。
Keywords:
東西文明の衝突と融和、有限な医療資源の有効配分、遺伝科学の進歩、再生医療の進歩、予防医学、エコ医療、セルフケア

【大会長講演】
(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.87)

自由意志問題について ―さまざまな視点から

伊藤 公紀
国際生命情報科学会(ISLIS)副会長
横浜国立大学 大学院 環境情報研究院
要旨:
自由意思問題に関連する知見を整理する。1)数理論理学: 不完全性定理より、「人間の精神は、アルゴリズムで動くチューリングマシンよりも、無限に優れている」。2)神経生理学: 意図的行動では、「意図」に数百ms先だって、ニューロンに「準備活動」が生ずる。3)物理学的決定論: 意図や自由意思の発現には、量子論的効果の寄与が必須である。4)神学的決定論: 自由意思が存在するためには、人間は神性を持つ必要がある。5)無限集合論: 無限集合の「部分の集まりが全体を超える」などの特性が、ギリシャ正教における神の特性と対応する。これらの知見に基づき、総観的描像を探る。
Keywords:
自由意志、数理論理学、神経生理学、決定論、無限集合論

【会長講演】
(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.88)
シュレーディンガーの世界観: 反コペルニクス的転回(U)

渡辺 恒夫
ISLIS 会長
東邦大学 名誉教授
要旨:
シュレーディンガーは波動方程式の発表以前にすでに、ヴェーダーンタの教えに近い「一者」の世界観に到達していた。彼の思想的自叙伝を発達心理学的・現象学的に解明することで、その世界観形成が、「私は自分が人間一般の一例であることを知っているが、人間一般は直接には経験されない。直接経験されるのは自己と他者のみであるが、私はそのことを知らない」という根源的パラドクスの解決への試みであることを明らかにする。
Keywords:
シュレーディンガー・ヴェーダーンタ・フッサール現象学・世界経験における根源的パラドクス

<ミニ・シンポジウム> 死生観のの教育と癒しの未来像

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.94)
日本におけるDeath Educationの現状    

林 和枝
中部大学 生命健康科学部 保健看護学科
要旨:
従来、生や死をめぐる問題は家庭や地域社会の中で日常生活場面を通して語られ、次世代へと受け継がれてきた。しかし、近年における地域社会とのつながりの薄さや核家族化、病院死の増加、ペットを飼うことが難しい住宅事情や環境の変化などから、子どもたちは直接的な経験を通して、生や死を理解することが難しくなってきている。本発表では、現在の日本において、家庭や学校教育の中で子どもに生や死をどのように教え、伝えているかについて考察する。
Keywords:
いのちの教育、学校教育、家庭教育、死生観、子どもの死の概念発達

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.95)
「五大」思想とヴィーガン  

岡本 聡
中部大学 人文学部 日本語日本文化学科
要旨:
「五大」循環の思想と、ヴィーガンとの関わりについて発表する。「五大」循環の思想と、放射性同位元素分析によると人間の体は98パーセント循環するという事実を対比する。その上で、実生活で完全に肉と油を抜き温野菜と7分搗きの米、味噌汁とぬか漬けというダイエタリーヴィーガンを徹底し、末期の卵巣癌から立ち直った人の事例を紹介する。その方と同じ方法を守る事により、白血病、膠原病、食道癌などの数々難病が完治しているという。この事を「五大」循環の理論から考えて、理にかなっているのではなかろうかという事を考察する。
Keywords:
「五大」思想、日本の古典文学、仏教

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.30, No.1, p.96)
ヴィーガンと「站椿功」による生命の癒し 

朝日 舞
日本ライブセラピー協会代表
要旨:
食は体を養うための重要な要素ではあるが、摂取の方法や素材によっては毒にも薬にもなり得る。人が健康で心豊かな人生を辿るには様々なストレスから心と体に蓄積される毒素を如何に上手く排泄できるかに関わる。今回ヴィーガンと、「立禅」と呼ばれる気功の一つ「站椿功」により、毒素を体に入れず、また蓄積された毒素を排泄し、生命のもつ振動や循環するエネルギーを感覚的に捉えながら、人体が自然の一部であり、内側から癒されていくことを実践的に考察する。
Keywords:
食、ヴィーガン、立禅、站とう功、毒、薬、排泄、実践的、生命のもつ振動、エネルギー、感覚的、自然、癒し、健康、気功、体を養う、ストレス、循環

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.30, No.1, p.97)
iRestによる五大思想とサーンキャ哲の実感

永草 美保
iRest上級者トレーニング修了 リラの会
要旨:
「五大」思想は、古代サーンキャ哲学まで遡ることができる。ここでは、身体・心・感情のすべてが、土・水・火・風・空などの組み合わせから生まれた、常に変化し続ける自然であるとし、その一方で、移ろう自然を眺める普遍の意識があり、この普遍の意識が真の自己であるということを認識することが苦からの解放であるとしている。このサーンキャを発展させたのが仏陀である。iRestというガイド付き瞑想でその哲学を体感する。

Keywords:
iRestヨガ二ドラ、五大元素、サーンキャ哲学、眺める存在

<ワークショップ>

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.98)
死と出会う「森になるデスワークVer.2」   

河野 秀海
浄土宗少僧都。一般社団法人「森になる」
要旨:
「森になる」は、樹木を植え自らが木となり森となって地球環境と子孫をまもろうと提唱する運動である。それは樹木葬と違い、埋葬にポイントがあるのではなく、墓碑の代わりに木を植えるというだけでもない。すなわち「森になる」は、環境保護を唱える前に環境に保護されてきたことをリマインドする仕組みであり、客体化された環境を主体化しなおす仕掛けであるともいえる。と同時にまた、人のためになることが、自分の大きな喜びであることを識る装置ともなる可能性がある。このように「森になる」運動は、自然との平和共存的実践にとどまらず、自己超越的気づきを促し、愛他的精神を鼓舞し、人生における高潔なあり方を促進すると期待される。さらに「死」が疎外された現在において、死について考えることは時にはあるが、自己の死を深く感じることは稀である。すなわち、かつて存在した生と死の循環が切れている現代にあって、「森になる」運動は、つながりを取り戻す契機ともなりうると考える。今回のワークショップでは、自らの死を擬似的に体験し、そこから世界を捉え直す機会を提供する。すなわち、自己の中で生と死の循環を取り戻し、死を見つめることによって生が解き放たれ、高い統合性が実現されると考える。このように、「森になる」運動は、「みどりの埋葬(Green Burial,)」という具体的な実践を通して、個人意識や宗教思想に新たな枠組みを付与しようとする精神運動とも言える。
Keywords:
森になる、みどりの埋葬、精神運動、自然、実践哲学、樹木葬

<一般講演>

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.31, No.1, p.99)
根っこのはった子育て   


飛谷 ユミ子
飛谷こども研究所
要旨:
筆者は、お母さん達に「根っこのはった子育て」を提唱している。それは子どもたちが20年後,大人に成長した時に世の中が決して明るいとは限らないからである。「根っこのはった子育て」,それは生きる強い力を身につける手助けをする事,言い換えると軟弱な大人ではなく、存在感のある子どもに育てることである。私たち人間は動物の一種であるため、動物の本能である母親の愛情(母性本能)によって、人間としての根っこを育てることが可能であると考えられる。本論文では、筆者の経験や今までの見地に基づき、母親に子供の成長期に合わせてどのように対応するのか,子どもと向き合うのかについて述べる。この人間としての根っこが育つことにより、結果として様々な高い能力や個性が育っていくと考えられる。
Keywords:
母と子,子どもの成長年齢,過保護,右脳と左脳,存在感,魂の教育


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Last Modified: March 16, 2013