International Society of Life Information Science (ISLIS)

Journal of International Society of
Life Information Science


Vol.15, No.1, March 1997
ISSN 1341-9226

[レター] LETTER



編集委員長からのメッセージ
(Message from Editor-in-Chief)

 Journal of ISLISは、本学会趣意書掲載の研究分野に関する意見・質問や見聞記などのレターも、掲載価値が認められる内容であれば、積極的に掲載します。
 読者のみなさまのご投稿をお待ちしております(投稿レターは、一部修正をお願いする場合もあります)。

山本幹男
Journal of ISLIS 編集委員長


 ここに掲載されている意見はレターの執筆者の意見であり、Journal of ISLISのポリシーを表明するものではありません。


To the Editor:

人体異常磁気現象の研究に対する質問
(Questions about the Anomalous Magnetic Phenomenon of Humans)

1996年11月14日

 1996年8月24日に東京電気大学において開かれた第2回生命情報科学シンポジウムでの発表「人体異常磁気現象の生物物理学的検討−特に外気によるヒトNK細胞活性の直接賦活効果について−」(山本竜隆,瀬戸明ら)1)は,大変に興味深い内容でした。生体から放射される磁気の生物に対する影響を調べられた貴重な研究と感銘を受けました。
 しかし,シンポジウムの討論の場で,会場から「中国においては,強い磁気を出す能力者が,実は爪の間に磁石を仕掛けていたという例がある」との質問があり,この点について,発表者側から明確な回答がなかったと記憶します。
 特異功能の研究においては,100年を越える超心理学の歴史からも明らかなように,詐術に対する防止策が不可欠であることは,いうまでもありません。Gaussオーダーの強い磁気を発する能力者2)の存在が事実でないとすれば,せっかくの研究発表も価値のないものになってしまいます。
 瀬戸明・山本竜隆氏らの実験の被験者S氏(強い磁気を発するといわれる者)を,私自身,直接確認する必要を感じていましたが,たまたま先日,第23回「磁気と生体」研究発表会(1996年11月9日,於経団連会館)でS氏の実演を見ることができました3)。
 実演は瀬戸明氏が司会され,次のように行われました。

 検出:8万回巻いたコイルを用いた磁気センサーで信号を差動増幅して,オシロスコープでその信号が観察できるように設置されていました。
 実演:S氏と会場から募られた希望者が、ちょうど膝上高さの応接テーブルを挟んで、向かいあって椅子に座り、互いに手を出します。S氏が相手の手の甲の側を、指先から手首の方向に向かって、ちょんちょんと指先でツボを探っていくと、「共鳴する」という場所で,オシロスコープ上にパルス群が3つ観察されました。
 実演ですので,厳密な条件下の実験ではありませんが,いくつか気になる点がありました。
1.オシロスコープを見た限りでは,「共鳴する」位置や相手が違っていても,波高,波形,パルス群の数(3つ),パルス群間の間隔などが,常に同じであったと思われます。生体信号であるなら,相手が違ったり,「共鳴する」部位が違っていれば,多少の相違が生じるのが自然でしょうが,そのような乱れが感じられませんでした。
2.実際に私もS氏に「磁気共鳴」をしてもらいました。私の場合,「共鳴」は手首付近で起こりました。このとき,私は,S氏の膝の動きに注目していたところ,S氏が指先を動かす動きにつれて膝が少しずつ前に出て,彼の指先が私の手首付近に来たときには,S氏の膝がテーブル下面に接していました。また,私は自分の肘をテーブルにつけていましたので,S氏が自分の膝をテーブル下面に押しつけるのを感じ取ることができました。これは,膝に取り付けた,何らかの電気的装置のスイッチを操作する動作とも考えることができます。

 以上の観察から,私は,S氏の磁気能力に疑念を拭い切れない状態にあります。この疑念を払拭するために,少なくとも次の質問にお答えいただきたく思います。
質問A: 条件が異なってもほとんど同じ信号が出ていることについて,どのように解釈されているのでしょうか?
質問B: 実演で使われたテーブルは,誰が用意したものだったのでしょうか?
質問C: これまでの実験で,身体検査などの手続きは,どのようになされているのでしょうか?
質問D: この現象を真性の現象と考える根拠は何なのでしょうか?
質問E: 他の研究機関の行う追試に協力する意思はお持ちでしょうか?

参考文献
1) 山本竜隆,瀬戸明,仲里誠毅,久光正:人体異常磁気現象の生物物理学的検討−特に外気によるヒトNK細胞活性の直接賦活効果について−, J. Intl. Soc. Life Info. Sci., 14(2): 201-205, 1996
2) 瀬戸明,山本竜隆,久光正:意識のセルフコントロールにより人体から1Gauss(100μT)オーダの磁気を輻射する能力者について−超伝導的性格の磁気および意識の量子論的側面, 「磁気と生体」研究会誌, 21(1): 57-70, 1994
3) 磁気能力者の人体特異能力パフォーマンス, 「磁気と生体」研究会誌, 23(1): 65-72, 1996

小久保秀之


放射線医学総合研究所
放射線科学研究部 第3研究室
263 千葉市稲毛区穴川4−9−1
Phone 043-255-3139,Fax 043-251-9046,
E-mail: kokubo@nirs.go.jp




上記の手紙への返信
(Reply to the above letter)

1996年1月31日


 本学会誌 Vol.14, No.2, 1996年9月号に掲載の proceedings に関し、1996年11月14日付けのレター(上記掲載)を拝受しました。
 検討の結果、本号への掲載を決定し、即日、その proceedings の著者らに回答の投稿をうながしました。1997年1月31日現在、このレターに対し、本誌に掲載すべき回答レターの投稿はありません。

山本幹男
Journal of ISLIS 編集委員長




Last modified: MAY 15, 1997

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