International Society of Life Information Science (ISLIS)

Journal of International Society of
Life Information Science (ISLIS)

26巻、1号、2008年3月号

要旨 


[Proceedings of 25th Symposium of Life Infromation Science]
without peer-review
[特別講演]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.37)
科学の認識と心

曽我 文宣
医用原子力技術研究振興財団 (日本、東京)
要旨:
自然科学の進歩はめざましく、我々を取り巻く自然の理解は宇宙、地球、生物、化学、物理、などの各分野に広がり、ここ1世紀の間に、以前には全く考えられなかった状態に至っている。またその応用の面での工学・技術の発展においても留まるところをしらない。講演では、古くからの人々の自然に対する態度、また17世紀に始まる近代科学の特徴をたどり、現在の科学の認識がどこまで進んでいるかについて、その大要を述べる。一方、多くの人々にとって、科学や技術は、生活上の影響はあっても、人生という問題とは別次元の問題として意識されている。人々は、科学とは離れて、生きる支えを必要とし、信仰、宗教、あるいは個別の倫理観をもって、生活を営んでいる。このように、進んだ科学の認識を持ちつつ、社会生活を送る、特に現代日本人の心は如何にあるのか、科学と心、両者をめぐる状態について考えてみたい。
Keywords:
自然科学、物理学、力、信仰、心、倫理、人生

[特別講演]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.38)
代替医療・統合医療の現状と将来像

川嶋 朗
東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門(日本、東京)
要旨:
西洋医学では解決の難しい末期がん、難病、生活習慣病、精神的疾患などに対し、相補・代替医療(CAM)・統合医療(IM)が注目されている。米国national institute of health(NIH)には国立補完・代替医療センターnational center for CAM(NCAM)があり、すでに1億ドル以上の予算を計上して様々なCAMに関する研究や調査が行われている。
教育面からみても、米国、ヨーロッパ各国、オーストラリアなどでもすでにCAMについての教育がなされている。日本でも、健康食品や東洋医学などを中心にCAMが広がりつつある。
しかしCAMにも問題がある。「○○でがんは治る」などの健康食品の被害を受けた患者は少なくない。CAM施行者の中には邪教の教祖のようなものもいる。
本講演では、CAM・IMの国内外の現状とその問題点などを挙げ、その将来に対する展望や希望について述べたい。

[特別講演]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.39)
シュタイナーの拡張された医学 真にスピルチュアルな統合医療を求めて

堀 雅明
堀 耳鼻科医院 院長(日本、東京)
要旨:
19世紀の神秘思想家ルドルフ・シュタイナーは、アントロポゾフィー(人智学)というエコロジカルな分野をすでに先取りし、教育、医学、農業をはじめとして深い示唆を与え続けています。この分野のアントロポゾフィー医学は、西洋医学の物質的な身体のみを検討する認識に、物質としての肉体の存在と機能を支える不可視で高次元の3次元のシステムを付け加えます。具体的には、物質としての体にいのちを吹き込み植物的な機能を支えるエーテル体、動物的な機能を支え情動と意識の基盤となり、かつ病気の発生において最も重要な因子となるアストラル体、人間特有の精神と下位のシステムの統合機能を担う個我です。同時に自然界の鉱物界、植物界、動物界と人間との密接な関連にも注目することで、様々な治療法と治療薬も開発されています。日本ではま発展途上ではありますが、伝統的な東洋医学をさらに深化させ、真の統合医療を実現する上で大きな可能性を秘めています。今回は、"アントロポゾフィー医学"の魅力の一端に触れていただければ幸いです。

Keywords:
ルドルフ・シュタイナー、Anthroposophic Medicine アントロポゾフィー、アントロポゾフィー医学、人智学、東洋医学、エーテル体、アストラル体、統合医学

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.40)

[講演]
本体論としての“脳・経絡・免疫学”の視点 脳内励起物質は経絡を下降する

堀 雅明
堀 耳鼻科医院 院長(日本、東京)
要旨:
医学生の頃、原気呼吸というユニークな瞑想法に出会い、日々実践を続けてきました。私は、雑誌IMAGO(平成4年12月1日発行。12月号第3巻第13号)に、"PNIから精神経絡免疫学へのジャンプ 万病自己免疫説をめぐって"という論説を発表しました。今日、シュタイナーの医学論に出会う中で、奇しくも同じコンセプトに再び遭遇することとなりました。人間の脳は、人体の他の部分に対して、免疫的には異物であり、従って抗原となるわけです。通常は、脳血液関門(Blood-Brain-Barrier)によって、脳は他の身体部分から隔絶されています。しかし、東洋医学の着目してきた経絡では、特に睡眠中にこのバリアーが破綻します。脳に蓄積している反応性の高いホルモンや代謝毒は、バイオプラズマによって励起された状態で経絡を下って人体の様々な部位に到達します。その結果、免疫反応を誘発し、ひいては様々な疾患を発生させることとなるのです。このことが、人体の様々な病気の根本原因の一つとしての脳という特異な臓器の宿命なのです。この点を踏まえて健康と病気の本体論について私の仮説を紹介させて頂きます。
Keywords:
原気呼吸、瞑想法、 精神経絡免疫学、脳血液関門、経絡、免疫学、東洋医学、ルドルフ・シュタイナー、脳、バイオプラズマ

[講演]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.41)
バイオフォトンで捉えたヒーリングの秘密

小久保秀之
国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)

要旨:
肉眼では見ることはできないが、すべての生体からは非常に微弱な光(バイオフォトン)が出ている。筆者は、切断した植物(キュウリ)に外気治療や手かざしを行い、キュウリのバイオフォトンを測定することで、手かざしや外気治療と呼ばれる非接触ヒーリング(スピリチュアルヒーリング)の定量測定に成功した。この測定法は、ヒーリング対象が人間ではないので偽薬効果の要素がなく、また、ヒーリング効果が数値の大きさで示される。その結果、「初心者よりもベテランの方がヒーリング能力が高い」、「ヒーラーの体調が良いとヒーリング効果も大きい」といった経験的主張が、おおむね妥当であることがわかった。しかし、その一方で、技法の違いは重要ではないこと、また、スピリチュアルという言葉から連想される精神・意識の重要性よりも肉体の重要性の方が優先することなど、予想とは異なる結果も得られた。本講演は、ヒーリングの定量研究の成果を紹介する。
Keywords:
バイオフォトン、ヒーリング、外気治療、手かざし、キュウリ、定量測定

[討論会]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.42)
バイオフォトンとヒーリング −超能力と物理学との関係式の発見―

座 長: 足達 義則(中部大学 大学院 経営情報学研究科)
問題提起者:小久保秀之(国際総合研究機構 生体計測研究所)
指定討論者:平藤 雅之(中央農業総合研究センター モデル開発チーム)、
高木 治(国際総合研究機構 生体計測研究所)
要旨:
2006年、問題提起者によって非接触ヒーリングの定量測定法が開発された。それは生体が発する極微弱な光(バイオフォトン)を測定することで可能になった。その結果、これまで客観的に示すことがむずかしかった「ベテランは初心者より能力が高い」ということが、数値で明確に示せるようになった。さらに、この測定法の開発は単にヒーリング研究に留まらず、いわゆる超能力研究全般を大きく変革する可能性も秘めている。問題提起者は、ヒーリング作用の大きさを表す量的指標としてJ値、J = ln(IE / IC) を導入した。この式は、実験データを最もよく説明するとして見出された実験式である。J値は、初心者よりもベテランの方が大きい。すなわち、この式の左辺J値はある種の超能力の量を表す「超能力量」、右辺は発光強度比の対数、すなわち物理量である。我々は、今、「超能力量は物理量の対数で表される」というウェーバー−フェヒナーの法則と同様の関係を見つけたのだろうか?
Keywords:
超能力量、物理量、関係式、ウェーバー−フェヒナーの法則、バイオフォトン、非接触ヒーリング

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.43-48)
スピリチュアル・ヘルス実現メカニズム
尾崎 真奈美
意識情報研究所(日本、東京),
京都大学(日本、京都)
要旨:
本研究の目的は、大学での心理学授業実践を通したスピリチュアル・ヘルス実現のメカニズムを提出することである。スピリチュアル・ヘルス実現を目的として、身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな、人間存在すべてのレベルに働きかける統合的な教育プログラムを行った。授業評価は、参与観察・感想シート分析・半構造化面接と、SP-TESTの試行によった。分析結果は、超越的次元へのつながりに対する気づき・意志・喜びに基づくスピリチュアル・ヘルス実現を示した。これより、スピリチュアル・ヘルス3因子モデルで説明されるスピリチュアル・ヘルス実現メカニズムが明らかになった。すなわち1)気づきと他の二つの要素(意志・喜び)が共時的に実現する。そして2)心理的・超越的次元の2段階の気づきを前提としながら、心理的次元から超越次元へ向かう意志の働き(上昇)と、超越次元から心理的次元に降りてくる喜び(下降)との振動運動によりスピリチュアル・ヘルスが実現するというものである。以上よりスピリチュアル・ヘルス実現は、意識のホラーキーな進化におけるダイナミックな過程とモデル化された。
Keywords:
Spiritual Health, Awareness, Will, Joy, Educational approach, Integral, SP-TEST

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p6.49-52)
脳動脈瘤が霊的施療により解消した一症例
樋口 雄三1、吉村ひろ子2
1.東京工業大学(日本、東京)
2.株式会社海光 (日本、東京)
要旨:
患者は42歳の男性。連日深夜までの勤務による過労から倒れ、MRIにより小脳における脳梗塞と診断され、さらに脳血管造影検査により、後下小脳動脈に2個所の脳動脈瘤が確認された。ベサトールSR、アムロジンなどによる治療を受けたが、手術は行わず、退院して経過観察とされていた患者に対して霊的施療を6回行った。霊的施療は患者には全く接触せず、無侵襲で霊的エネルギーで施療したが、施療後の脳血管造影検査により脳動脈瘤の消失が確認された。その後の定期検査においても異常は認められていない。
Keywords:
spiritual therapy, cerebral aneurysm, cerebral angiography, MRI scan

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.53-64)
キュウリにおける極微弱生物光の発光機構
小久保秀之1,2、山本幹男1,2
1.国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)
2.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター(日本、船橋)
要旨:
キュウリなどの植物体に傷をつけると、その傷口から通常よりも非常に強いバイオフォトン(極微弱生物光)が発せられる。切断したキュウリの自然発光には複数のメカニズムの存在することが想定された。本研究では、キュウリの生物光の発光機序を検討し、1) アスコルビン酸の酸化反応、2) スミレ葉アルデヒドなどの緑の香りの生合成反応、3) 緑の香りの生合成反応に誘発される別種の生体防御反応の3種を主な発光起源と推定した。キュウリ切片に、α−リノレン酸、リノール酸、アスコルビン酸オキシダーゼ、脂質過酸化酵素を添加すると発光強度が増したことから、1), 2)の反応系の発光が確認された。3)の反応の発光の確認と、1), 2)の発光が自然発光に占める割合の同定が、今後の課題として残った。
Keywords:
バイオフォトン、白いぼキュウリ、発光機構、ヒーリング、緑の香、ビタミンC

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.65-70)
Science towards Reality and Meaning
Takeo OKU
Cavendish Laboratory, University of Cambridge, J J Thomson Ave, Cambridge CB3 0HE, UK
Abstract:
The purposes of the present work are to investigate reality and consciousness from a scientific view point and to propose a concept for future work. Extended science explaining all of reality would include consciousness science, biological systems and quantum physics. A holographic model of consciousness of a human being which includes information on the space and time of the whole universe even though it is diluted information, is proposed by reviewing various types of consciousness and biological models with complex systems. In addition to this, an approach for first person's science is described. Consciousness science is also important for psychosomatic medicine since the quality of life and health condition of human beings would be influenced by the consciousness level. An extended unified theory is expected as future scientific-based philosophy.
Keywords:
reality, meaning, science, consciousness, mind, intelligence, knowledge, information, quantum physics, biology, complex system, holographic principle, nonlocality, philosophy

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.71-81)

不思議現象と意識科学的宇宙論の考察

前田 豊
前田技術事務所 (日本、神奈川)
要旨:
人間の特異潜在能力によって、不思議現象が発現することは、科学的にもその存在が証明されてきている。その原理やメカニズムとして幾通りかの説が提案されているが、必ずしも全ての現象を説明できるものではない。 本発表では、時空間と意識を含む新しい多次元空間を仮説化し、各種の不思議現象をほぼ矛盾なく説明しうる「意識科学的宇宙論」の提言を行う。特に予言を含む超時間的な現象の説明を試みる。つまり、不思議現象は気によって起こされるが、気は意念であり、超極微的存在のために量子論の不確定性原理によって、時空間宇宙内で普遍的存在となり、太古から未来まで、また宇宙全体に希薄な分布状態で存在する情報と考えられる。人間の想念は、気となって意識空間(潜在意識層)に導通され、対象物と共鳴が生じたとき不思議現象を起こす。ユング説の集合無意識層は、意識空間に保存された情報であり、時空間と意識を加えた多次元空間の現象と考えるとよく説明できる。
Keywords:
気、 気功、不思議現象、意念 、多次元空間、意識科学的宇宙論

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.82-88)
合谷のツボおよび印堂のツボの電気的特性の検討
鈴木昭二1、足達義則2、青木孝志2、奥野正明1、米川純樹1、岸田公太1
1.鈴鹿工業高等専門学校(日本,鈴鹿)
2.中部大学 (日本,春日井)
要旨:
手にある合谷のツボを刺激したとき、印堂のツボに発現する電気的特性を測定した。5人の被験者について、印堂のツボに直流電圧をかけ、電流量の変化を測定した。その結果、すべての被験者において刺激した直後は電流が増加し、その後次第に減少していくことが分かった。また、刺激前後における顔面の皮膚表面温度の変化をサーモグラフィーで測定し、上昇することを検出した。次に、運動の前後における合谷のツボに印加した交流電流の電流量および位相の変化を測定した。その結果、運動後では電流量が約10%増加し、位相が5〜10%遅れることが分かった。最後に、ツボの状態変化を正確に把握するため、合谷のツボの等価回路について検討した。つまり、ツボを刺激しない状態で、かけた交流電圧の電流と位相の特性変化を測定し、それと同じデータが得られる等価回路を決定した。
Keywords:
ツボ、合谷、印堂、サーモグラフィー、電気的特性、皮膚表面温度

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.89-98)
周期的点滅光が心拍変動および良導絡皮膚電気反応に与える影響
青木孝志1、足達義則2、北出利勝3、鈴木昭二4
1.中部大学工学部(日本、愛知)
2.中部大学経営情報学部(日本、愛知)
3.明治鍼灸大学(日本、京都)
4.鈴鹿工業高等専門学校(日本、三重)
要旨:
20Hz周期的点滅光の刺激が心拍変動および良導絡の皮膚電気反応に与える影響を調査した。ここで良導絡とは皮膚電気反応の観点から定義された経絡である。被験者は22-23歳の健康な男子であったが、この刺激で気分が悪くなる被験者はいなかった。心拍数に有意な変化は見られなかった。また、心拍変動のパワースペクトルのlow frequency成分LFおよびhigh frequency成分HFにも変化は見られなかった。しかし、LF/HFは刺激中および刺激後の4分間有意に減少した。従って、本刺激により交感神経の活動の抑制が起こることを示唆している。また本刺激により良導絡の皮膚電気抵抗は刺激中および刺激後に増加したが、これも交感神経活動の抑制が起こることを示唆している。LF/HFおよび皮膚電気抵抗の変化は、それぞれ、刺激後4分および8分間刺激効果が持続することを示した。
Keywords:
Photosensitive epilepsy, light stimulation, heartbeat fluctuation, meridian (Ryodoraku), electrodermal activities, Pokemon (pocket monster) incident

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.99-104)

3種類の刺激に対する脈波形の変化 −音、光、匂−

足達義則1、青木孝志1、鈴木昭二2
1.中部大学(日本、春日井)
2.鈴鹿工業高等専門学校(日本、鈴鹿)
目的:
生体は、生体維持のため、刺激に対して特有な反応を示す。色々な反応があるが、自律神経を通して脈波形にも変化が現れる。通常、刺激の受容機構として五感があるが、本研究では、視覚、聴覚、および嗅覚からの反応について検討する。与える刺激として、音刺激(音楽)、光刺激(周期的点滅光)、匂い刺激(香水)を取り上げ、脈波形を加速度脈波計で計測し、脈の周期性、波形のフラクタル次元等について刺激前後の脈波形の変化から検討した。当然、個人性が大きく現れるため個々の被験者について一様な値とはならないが、何らかの変化が現れることを確認した。
Keywords:
脈波形、フラクタル次元、リアプノフ指数、自己相関、ウェーブレット解析

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.105)
ハンドマッサージが脳機能に与える影響のNIRSによる検討
古賀良彦
杏林大学医学部精神神経科(日本、東京)
要旨:
CPT遂行にハンドマッサージが与える影響を生理学的に検討することを目的とした。対象は、インフォームド・コンセントを得た、平均年齢33.2±6.7歳、右手利き健常女性18例。CPTは、モニターにランダムに呈示される数字のうち、偶数の次に3が呈示された場合のみ、左手第一指でボタンを押すものとした。CPT遂行中、条件1:ハンドクリームを使わずに右手マッサージ施行、条件2:マッサージにハンドクリーム使用、条件3:マッサージにクリームの基剤のみ使用の3条件について、NIRSにより左側前頭及び側頭部の酸化ヘモグロビン濃度を比較した。その結果、ハンドクリームを用いてマッサージを行なった場合は、とくに側頭部における酸化ヘモグロビン濃度の低下がみられた。
Keywords:
ハンドマッサージ、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)、酸化ヘモグロビン

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.106-111)

自然環境および都市環境刺激条件下での心理生理学的変化

渡辺恒夫1、小久保秀之1, 2、高澤健司3、河野貴美子1,4
1.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター (日本、千葉)
2. 国際総合研究機構 生体計測研究所 (日本、千葉)
3. 明治学院大学 (日本, 東京)
4. 日本医科大学 (日本, 東京)
要旨:
自然の修復的効果を、皮膚伝導水準(SCL)と心拍(HR)という心理生理学的指標を用いて評価することを試みた。12名の大学生が2つの実験条件の双方に、心理生理学的計測の被験者として参加した。自然条件では被験者は10分間のストレス課題の後、自然環境AVをパソコン画面上で8分間視聴し、都市条件では同じ手続きで都市環境AVを視聴した。ストレス課題は70-80dBの騒音中でクレペリン検査を受けることであり、自然環境AVは無人の海岸風景の映写、都市環境AVは幹線道路の交通混雑の映写だった。両条件ともAV視聴中にSCLは低下を続け、条件の間に有意差は見られなかった。一方HRは都市環境AVで上昇し、自然環境AVでは低下し、両条件間で有意な差が認められた。SD法によるこれら環境刺激への心理的評価等に基づいて、自然環境刺激はリラックスを、都市環境刺激は退屈をもたらしたと解釈された。
Keywords:
自然の修復的効果、皮膚伝導水準(SCL)、心拍率(HR)、SD法、Russell とLaniusによる場所の気分特性モデル

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.112-116)
音楽と映像のストレス抑制効果を用いた
実時間体調モニタ付き屋内歩行訓練機の開発
上杉一秀1、服部隆裕2、岩田大助1、清田公保3、足達義則4、鈴木昭二5
1.熊本電波工業高等専門学校(日本、熊本)
2.NTTデータネッツ(日本、東京)
3.鳥羽商船高等専門学校(日本、鳥羽)
4.中部大学経営情報学部(日本、春日井)
5.鈴鹿工業高等専門学校(日本、鈴鹿)
要旨:
歩行に適した音楽や映像を提示した屋内環境下において、被験者の心拍数や脈波形などの生体情報を実時間で計測し、歩行訓練の強度をコントロールできる『患者にやさしい』歩行訓練機システムを提案する。
我々はこれまでに、手のひらの電位や脈波形などの生体情報とストレスの関連づけの研究を行っており、癒しの音楽にはストレス解消と正の相関があることを見出している。本研究では、音楽を併用したトレーニングの試行実験の結果、曲調を変えることで心拍数が増減することを見出し、音楽を使って心拍数のコントロールを実用化できる見通しを得た。また、ビデオ録画による風景の実写投影と連動させることによって、歩行訓練が効果的に行われるかを調査した。スクリーンに提示する映像として、マイナスイオン効果で歩行に適していると考えられる田園や緑の多い公園等の風景を用いている。また、音楽も歩行訓練に適したリズムを持つものを選曲している。こうした環境下における歩行・映像・音楽の関係を調査し、それらによるストレス抑制効果を検討した。
Keywords:
歩行訓練システム、生体情報、癒し系音楽、心拍変動、実写投影

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.117-122)
植物に及ぼす自然音の効果に関する研究
奥 健夫1、喜田 圭一郎2、中村 泰治3
1.意識情報研究所(日本、滋賀)2.サウンドヒーリング協会(日本、東京)
3.昭和大学名誉教授(日本、東京)
要旨:
本研究では、屋久島で録音された自然の音を植物に照射して変化を観察し、自然音の効果を調べることを目的とした。自然音を照射した菊は水を吸収する代謝機能を強く維持し、多数の新芽の成長も観察され、自然音による生命体健康促進への有効性が示唆された。
Keywords:
natural sound, plant, chrysanthemum, sound healing, information, energy, water

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, p.123)
太極拳の科学的解明の試み
桂川秀嗣、河野貴美子1,2,3、小久保秀之1,3、山本幹男1,3
橋爪秀一4、鎌田明彦5、渡辺恒夫
1.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター(日本、千葉)
2.日本医科大学 情報科学センター(日本、東京)
3.国際総合研究機構(日本、千葉)
4.森永製菓(株)研究所(日本、神奈川)
5.アイリテック(株)(日本、東京)
要旨:
太極拳は中国古来より伝わる拳法で、もともとは武術であった。今日、太極拳は健康法として多くの人々に広く愛好されている。太極拳運動は意識、呼吸、動作の三者を結合して、意識を鍛錬し、気を鍛錬し、身体の鍛錬を目指している。また、太極拳は意識、呼吸を重視することからしばしば禅と比較され、動く禅にたとえられる。しかし、禅に比べて太極拳の効果に関する科学的データは不足している。本研究では太極拳の実施中およびその前後の脳波、心電、呼吸、唾液中のCgA(クロモグラニンA), 瞳孔対光反応、f−NIRS(近赤外分光血流計),EDA(皮膚電気活動)等の各種の測定を行い、比較、検討を行った。これらの測定を通して太極拳運動の効果を科学的に解明することを試みている。
Keywords:
太極拳、意識、呼吸、動作、座禅

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.124-128)
太極拳実施に伴う脳波の変化
河野貴美子1,2,3、桂川秀嗣2、小久保秀之2,3、山本幹男2,3
橋爪秀一4、鎌田明彦5、渡辺恒夫2
1.日本医科大学 情報科学センター(東京)
2.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター(船橋)
3.国際総合研究機構(千葉)
4.森永製菓(株)研究所(横浜)
5.アイリテック(株)(東京)
要旨:
太極拳の実施中およびその練習過程における脳波の変化を、各種生理指標とともに計測した。被験者は、初心者から鍛錬11年以上の師範格の者まで計6名である。通常の安静時に比較し、立位で行う瞑想、立禅では後頭部のα波が大きくなる傾向が見られたが、動きを伴う太極拳実施中は、特に初心者では小さくなり、終了後にリラックスして大きくなる傾向が認められた。上級者ほど、前頭/後頭α波平均振幅比(Fp2/O2)が大きく、前頭-後頭間α波の位相時間差は初心者ほど短かった。初心者は太極拳の動きを追うことに集中し、緊張しているが、上級になるほどリラックスしてできるようになると思われた。
Keywords:
脳波、太極拳、波振幅値、前頭波、波位相差

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.129-133)
太極拳はストレスを改善するか
橋爪 秀一1、河野 貴美子2,3,4、桂川 秀嗣3
小久保 秀之3,4、山本 幹男3,4、鎌田 明彦5、渡辺 恒夫3
1.森永製菓株式会社 研究所
2.日本医科大学 情報科学センター
3.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター
4.国際総合研究機構
5.アイリテック株式会社
要旨:
精神的ストレス指標であるクロモグラニンA (CgA)を用いて太極拳がストレスを軽減するかを検討した。その結果、被験者数は少ないが、太極拳は暗算のみ或いは暗算及びソロバンのストレス負荷により上昇したCgAレベルを低下させる傾向が認められたことから、太極拳はストレスを軽減する効果を有することが示唆された。更に、CgAはアンケート調査結果から得られた疲労度スコア或いは皮膚電気伝導度と相関する傾向が認められた。一方、リラックスの指標である後頭部波とは逆相関の傾向が認められた。
Keywords:
クロモグラニンA、精神的ストレス、太極拳


(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.134-137)
fNIRSによる太極拳の脳血流測定
小久保秀之1,2、山本幹男1,2、桂川秀嗣2、鎌田明彦3、河野貴美子4,1,2、橋爪秀一5、渡辺恒夫2
1.国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)
2.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター(日本、船橋)
3.アイリテック(株)(日本、東京)
4.日本医科大学 情報科学センター(日本、東京)、
5.森永製菓(株) 研究所(日本、横浜)
要旨:
太極拳実施時の脳血流の変化を、近赤外分光血流計を用いて測定した。熟練者1名(男, 66歳)と初心者1名(男、59歳)を各2回ずつ測定した結果、前頭前野の血流増加が共通していた。また、皮膚電気活動の変化パターンは両被験者でよく似ていた。
Keywords:
太極拳、近赤外分光血流計、fNIRS、脳血流、皮膚電気活動

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.26, No.1, pp.138-145)
太極拳実施に伴う瞳孔対光反応パターンの変化
鎌田 明彦1、河野 貴美子2,3,4、桂川 秀嗣3
小久保 秀之3,4、山本 幹男3,4、橋爪 秀一5、渡辺 恒夫3
1.アイリテック株式会社(日本、東京)
2.日本医科大学 情報科学センター(日本、東京)
3.東邦大学理学部 心と生命の環境学研究センター(日本、船橋)
4.国際総合研究機構(日本、千葉)
5.森永製菓株式会社 研究所(日本、東京)
要旨:
自律神経は興奮と抑制をコントロールし、一般にリラックスによって抑制はつよまると考えられている。瞳孔運動(対光反応)を測定することにより、自律神経(交感神経と副交感神経)拮抗バランス度が太極拳実施によって変化することが観察された。本実験結果から、太極拳は生体を適度に活性化させることを含め、実施者の個体差に応じた自律神経を調節する作用をもつ可能性が示唆された。

Keywords:
太瞳孔対光反応、自律神経、太極拳

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Last Modified: April 1, 2008