International Society of Life Information Science (ISLIS)

Journal of International Society of
Life Information Science (ISLIS)

25巻、1号、2007年3月号

要旨 


[原著論文]
Peer-Reviewed

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.20-22)
パラボリックフライト被験者の血清によるUV照射ヒトRSb細胞の変異性の変動

斉 效軍、高橋 俊二、野村 純、菅谷 茂、一村 義信、Ling ZHAIXiaobo TONG、喜多 和子、鈴木 信夫
千葉大学大学院医学研究院 環境影響生化学 (日本、千葉)
要旨:
今回、我々は7名の被験者から得たパラボリックフライト(PF)前後の血清を用いて、ヒトRSb細胞のUVに対する変異調節活性の変動について調査した。UV照射後の変異誘導はPCR-based differential dot-blot hybridization法とPeptide nucleic acid (PNA)クランピング法によるK-ras コドン12 の塩基置換変異検定、そして、ウワバイン抵抗性の出現頻度によって解析を行った。 PF前後の血清を細胞培養液中に1/1000量添加し、細胞を処理した結果、被験者の一人で、PF後の血清に変異誘導作用が認められた。他の6名の被験者の血清はPF前後とも変異誘導作用は見られなかった。しかし、それらの血清成分をBlue Bカラムクロマトグラフィーにより分離分画したところ、得られた8画分で変異誘導活性が検出された。以上の結果から、ヒト血清は変異調節作用因子を含んでおり、その活性はPFにより変化するということが示唆された。
Keywords:
parabolic flight, gravity alteration, human serum, UV-mutagenicity, interferon

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.27-29)
ジャスミンの匂い刺激による加速度脈波の波高比の変化

青木孝志1、足達義則2
1.中部大学工学部(日本、愛知)
2中部大学経営情報学部(日本、愛知)
要旨:
近年、様々な芳香の活用が統合療法分野で増加しつつある。これはアロマセラピーと呼ばれているが、匂い刺激は人体の嗅覚中枢に伝わり、自律神経や脈波に影響を与える。本研究目的は、匂い刺激が脈波の構成成分の波高比(b/aおよびd/a)に対して、どのような影響をもたらすのかを調べることである。ここで、a, bおよびdは加速度脈波の構成成分であるa, bおよびd波の高さである。10人の被験者にジャスミンの匂い刺激を5分間あたえた。刺激中の5分間と、刺激前の5分間および刺激後の5分間、脈波を測定した。その結果、ジャスミンの匂い刺激中はb/aが統計的有意に減少した。この実験結果は刺激中に血管の伸展性がよくなったことを示唆している。刺激を止めると約5分以内に元の値に戻った。d/aは有意な変化を示さなかった。また刺激によって心拍数が平均3.5%増加した。
Keywords:
jasmine fragrance, aromatherapy, pulse waveform, blood-vessel extensibility

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.35-39)
極微弱生物光による非接触ヒーリング作用の標準評価法
小久保秀之1、山本幹男1、河野貴美子2,1
1国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)
2日本医科大学 情報科学センター(日本、東京)
要旨:
手かざしや祈りになどの非接触ヒーリングの作用を、極微弱生物光で評価する方法を研究した。超高感度カメラにて植物切片(白いぼきゅうり)の試料対(実験試料と対照試料)を18時間測定し、実験試料から生じる生物光の発光強度を対照試料の発光強度と比較した。測定は、実験試料に全く処理を行わない無処理群、手かざし等を行うヒーリング群、40℃の熱源にさらす熱処理群について行った。結果、無処理群と熱処理群では実験試料と対照試料の発光強度に差は無く、ヒーリング群でのみ実験試料と対照試料の発光強度に有意差が見られた(p = 0.002, 両側, paired t-test)。また、実験試料と対照試料の発光強度の比の対数を効果量の指標とすることで、非接触ヒーリング作用の定量的評価が可能となった。
Keywords:
極微弱生物光, きゅうり、ヒーリング、手かざし、祈り、標準法、評価、直接精神作用、DMILS

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.51-62)
加齢によって向上する痛み抑制のスピリチュアルヒーリング能力
−極微弱生物光による非接触ヒーリング標準評価法の応用−
小久保秀之1、山本幹男1、河野貴美子2,1
1国際総合研究機構 生体計測研究所(日本、千葉)
2日本医科大学 情報科学センター(日本、東京)
要旨:
手かざし治療の実践者10名(初心者5名と中堅・ベテラン5名)について、その非接触ヒーリング作用の効果を、植物切片(白いぼきゅうり)の極微弱生物光で測定した。ヒーリング作用の量的指標は、実験試料と対照試料の発光強度比の対数(J値)を用いた。また、186項目の質問紙法によって実践者の当日の実践内容、過去の経験やその自己評価を調べた。結果、J値は、初心者群は0.072であったのに対し、中堅・ベテラン群は0.166となり、中堅・ベテラン群が初心者群よりも大きなヒーリング効果を示した(p=0.025、片側)。肩・背中・腰痛に対する施術効果の評価点がJ値と相関したことから(r = 0.57、p=0.043、片側)、測定されたヒーリング能力は、痛み抑制効果の能力に深く関係すると考えられた。また、J値は実践者の年齢と正相関し(r=0.63、p=0.049、両側)、特に初心者群ではr = 0.92(p=0.025、両側)と非常に強く正相関した。J値は年齢関数と初心者・ベテラン関数の1次結合式でよく近似できた。また、性格特性項目「そそっかしい−慎重」が能力発揮に重要であると考えられた。得られた知見から、著者らは次のようなヒーリング能力の生物学的仮説を提唱する。仮説:(1) 加齢によって生ずる痛みを抑制するために、痛み抑制の自己ヒーリング能力が向上する。(2) 痛みを抑制する非接触ヒーリングは、自己ヒーリング能力を他者に向けて転用したものである。
Keywords:
加齢、痛み抑制、バイオフォトン, きゅうり、スピリチュアルヒーリング、手かざし、気功、DMILS、バイオPK、性格特性、重回帰分析

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.63-71)
Investigation on SpatiotemporalCharateristics of Zen-Meditation EEG Rhythms

Hsien-Cheng LIAO and Pei-Chen LO
Dept. of Electrical and Control Engineering, National Chiao Tung Univ. (Hsinchu, Taiwan)
Abstract:
This paper reports a unique interpreter that combines a multi-resolution scheme with autoregressive modeling to identify the EEG (electroencephalograph) patterns including the flat wave (f), δ, q, c, a, and b activities as well as such artifacts as the baseline drift and EMG (electromyograph) interference. With the merits of high computational efficiency and easy hardware realization, the method proposed is feasible for long-term EEG monitoring and online EEG processing. It also allows a quick overview of an enormous amount of EEG data. Moreover, results of applying the proposed scheme to an experimental group (Zen meditation practitioners) and a control group (normal, healthy subjects) reveal significant distinction in spatiotemporal characteristics of EEG rhythmic patterns, especially the spatial propagation of the b rhythm during meditation sessions.
Keywords:
Autoregressive model, Meditation EEG interpreter, pattern histogram, Spatiotemporal characteristics, Subband filtering, Zen meditation EEG, b% mapping.

[Proceedings of 23rd Symposium of Life Infromation Science]
without peer-review

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.86-90)
心霊研究とスピリチュアリズムの発展史概観

渡部俊彦
放送大学大学院 文化科学研究科修士課程(千葉、日本)
要旨:
1848年にアメリカで発生した叩音事件から科学者らによる心霊現象の研究、近代心霊研究が始まった。欧米を中心として、心霊現象や死後の霊魂存在を実験によって探求する研究が行われ、イギリスでは心霊研究協会(SPR)が生まれた。さらに、霊魂存在や霊魂との交信の可能性を認めるスピリチュアリストが生まれた。ここから、新しい人生指導原理であるスピリチュアリズムが誕生した。欧米の心霊研究は浅野和三郎によって日本に紹介され、彼は心霊科学研究会を設立し日本スピリチュアリズム(日本神霊主義)を生んだ。脇長生が日本神霊主義を発展させた。さらに桑原啓善がイギリスの霊界通信の内容を加味させて、ネオ・スピリチュアリズムを作り出した。
Keywords:
psychical research, psychical phenomena, mediumship, SPR, Spiritualism, Japanese Spiritualism, Neo Spiritualism, Spirituality

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.94-95)
前立腺癌に対して霊的施療を併用した一症例

樋口雄三1、林義貢2 、山本竜隆3
1東京工業大学 (日本、東京)
2むさしの治療センター (日本、東京)
3統合医療ビレッジ (日本、東京)

要旨:
前立腺癌の患者に内分泌療法とともに霊的施療を行い、著しい改善が認められた症例について報告する。患者は67歳で、2003年12月から夜間頻尿、尿勢低下を訴え、2004年5月に受診し、前立腺癌(stageD2)と診断された。前立腺特異抗原癌(PSA)は、39.01ng/ml、直腸内触診(DRE)において硬く、針正検では中分化_低分化腺癌(Gleason grade 4+5, score 9)であった。さらにCT, MRIにおいても確認され、また骨シンチグラフィーにより左坐骨に異常集積が認められた。6月より内分泌療法を行うとともに7月から5回の霊的施療を行った結果、2005年2月に前立腺癌の縮小と左坐骨を含め骨には異常なしと診断された。
Keywords:
spiritual therapy, prostate cancer, CT scan, MRI scan, bone scintigraphy

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.100-102)
祈り(統一)の科学的測定と考察

中村泰治1、河野貴美子2
1昭和大学 名誉教授 (日本、東京)
2日本医科大学 情報科学センター (日本、東京)
要旨:
祈り、統一により人は宇宙の根源と一体になりそのエネルギーを受け、その人の命は生かされ、同時に他の命も癒す。本研究は、報告者の一人が被測定者になり、祈り(統一)の測定中に本人が実体感した意識状況と測定された結果とを対比し、祈りと肉体の関連を究明するため行われた。祈り、統一中の脳波測定の結果、特に波の変動状況は坐禅、瞑想、静功などに共通な点があることを前回述べた。今回測定したのは、脳波、脳内血液流量変化、皮膚電気活動である。脳波について、被測定者が深い統一に入っていたという時間帯を今回さらに詳細に検討し次の結果を得た。波は徐波化が進み、減少し全頭において波と周波数の低い波が優勢となった。その時、波は特に頭頂から左前頭部にかけて強く、左後頭部にも現れた。脳内血液流量変化の測定結果、頭頂と左前頭部に特に大きな変化(Oxyヘモグロビンの増加)が観測された。この部位は深い統一時の波の強い部位と一部一致しており、その関連性について今後研究する必要があると思われる。皮膚電気活動測定では、EDAは統一開始直後から低下し続け180秒以後はほぼ安定して低いレベルを保ち続けたことが認められた。この結果は、被測定者が実感したとおり、開始後3分頃から深い統一に入っていたとことを科学的に裏付けたものと言える。
Keywords:
祈り、統一、脳波、脳血流、近赤外分光血流計(NIRS)、皮膚電気活動(EDA)

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.105-106)

[理事長報告]
国際生命情報科学会(ISLIS)の11年半と「潜在能力の科学」の推進

山本幹男
国際生命情報科学会 (
ISLIS) 理事長、 編集委員長1
国際総合研究機構 (
IRI) 理事長2
(東邦大学 理学部 訪問教授、日本、千葉市 )
要旨:
国際生命情報科学会(ISLIS)の2007年春までの11年半の活動と「潜在能力の科学」の推進について報告する。ISLISは2005年に創立10周年の記念行事を実施した。設立趣意は、物質中心の科学技術から、こころや精神を含んだ21世紀の科学技術へのパラダイム・シフト(枠組革新)のための、実証的科学技術研究の発展を通じて健康、福祉、教育と社会および個人の心の豊かさを増進させ、自然と調和した平和な世界創りに寄与する事である。1995年の創設以来、生命情報科学シンポジウムを年2回、計23回の主催と国際学会誌Journal of International Society of Life Information Science (Journal of ISLIS )を年2号完全に定期発行し続けてきた。2002年には「潜在能力の科学国際シンポジウム」を、2004年8月には韓国ソウルで「Mind Body Science国際会議」を主催した。2004年には単行本「潜在能力の科学」を発行した。現在世界の9カ所に情報センターを、約10カ国に約260人の会員を有す。意義あるISLISを存続・発展させるために、事務局、編集部とシンポジウム実行の新体制確立と会員などの大幅増勢を図り、財政基盤の確立が急務である。相補代替医療へ日本でも引き続き2007年度も調査費が募集された。
Keywords:
International Society of Life Information Science (ISLIS ), Journal of International Society of Life Information Science, Journal of International Society of Life Information Science, publication of a book, human potential science, mind body, parapsychology, qigong, complementary and alternative medicine (CAM), integrative medicine

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.111-114)
スピリチュアル・ヒーリング:その本来の意味

尾崎 真奈美1.2、奥 健夫2
1東海大学文学部心理・社会学科(神奈川・東京)
2 意識情報研究所(東京・日本)

要旨:
スピリチュアル・ヒーリングと呼ばれるものの中には多様なものがふくまれている。その中には、物理現象に過ぎないものであっても、単に科学的に未検証である治療法から、心身相関的に説明ができるもの、非局在意識を想定しなければ説明が不可能な現象まで混在している。本研究においては、スピリチュアル・ヒーリングに関する科学的検証を概観した上で、スピリチュアル・ヒーリング本来の意味を提出する。スピリチュアリティーは心も体も超越した概念であるが、身体の現象として現われうる。スピリチュアル・ヒーリングも同様に、非局在意識、すなわち魂のレベルの癒しであるが、心理学的には、許し、存在のありのままの受容、それにともなう高い道徳的変容として説明されよう。つまり、魂の癒しと心身の健康状態に関連はあるものの、本来的な意味では二者は同一ではない。スピリチュアル・ヒーリングすなわち魂の癒しは、また、主体の意図的な努力で獲得していくというより、すでにすべての存在に無条件で与えられている恩寵という側面が存在する。主体がその事実を意識化することでスピリチュアル・ヒーリングは達成される。スピリチュアル・ヒーリングの現場で起こる問題として、魂の癒しではなく心身の癒しに執着することから生じる、スピリチュアル・ハラスメントに関しても警告した。
Keywords:
スピリチュアリティー、スピリチュアル・ヒーリング、補完代替医療、非局在意識、受容、許し、魂、道徳性、スピリチュアル・ハラスメント

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.119-122)
人格成熟は必ずしも精神的健康を約束しない? スピリチュアル・ヘルスとメンタルヘルスの相違

尾崎 真奈美1.2、奥 健夫2
1東海大学文学部心理・社会学科(神奈川・東京)
2 意識情報研究所(東京・日本)

要旨:
目的:本研究の目的は、宗教的伝統のあるS大学の学生と一般大学学生におけるスピリチュアリティーを比較し、意志の働き、内的な喜び、超越性、道徳性にどのような差があるか探索することである。その結果より、スピリチュアル・ヘルスとメンタルヘルスの構成概念を再考し、モデル構築をも目的とする。方法:心理的成熟度として表れるスピリチュアリティーの測定尺度であるSBAS-TEST(尾崎、2005)を、首都圏の一般大学生(N=287)とS大学生(N=107)とに試行し、総得点、各カテゴリー、因子ごとの単純加算得点を比較した。結果:S大学学生は、信念に基づいた行動、超越次元への気づき、倫理観、気遣い、スピリチュアリティーで、一般学生より有意に高得点を示した。しかしながら内面からあふれ出るスピリチュアルな喜びに関しては、一般学生と比較し低い傾向を示した。考察:S大学の宗教教育を背景とするスピリチュアリティーの側面は、超越的次元への気づきと、それに伴う道徳性として表れた。しかし喜び得点が低いことから、それが必ずしも精神衛生の高さを意味しない可能性を示唆した。道徳性の高次への変容をスピリチュアル・ヘルスとして、適応中心のメンタルヘルスから区別することにより、スピリチュアリティーが、道徳性で記述できる可能性が示された。結論:メンタルヘルスとスピリチュアリティーの高さは必ずしも一致しない。高次の道徳性は、スピリチュアル・ヘルスのひとつの指標となりうる。
Keywords:
Spiritual health, mental health, existential depression, religious education, moral

[パネルディスカッション]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.123)
素朴な疑問−人間意識とは
伊藤公紀
横浜国立大学・大学院環境情報研究院(日本、横浜)
要旨:
人間の「意識」についての議論のスペクトルは大変広く、大きな対立も見られる。ここでは、対立を止揚する地点はどこにあるのかを整理したい。1)意図的に体を動かすには、自由意志が必要である。そのとき、自由意志と脳内神経パルス(あるいはパルスパターンやアトラクタ)の関係はどうなっているのか。人間機械論的には、自発的なパルス生成やパルスパターン/アトラクタの変化を自由意志と見なすことになる。反人間機械論的には、自由意志により神経パルス開始やパルスパターン/アトラクタ変化が起きると考えることになる。自発的神経パルス生成は確率論的であるにしろカオス的であるにしろ、本質的には決定論的であり、自由意志と見なすには無理があるだろう。その点は、反人間機械論に分があるように思われる。2)ゲーデルが不完全性定理の帰結として導いた「思考はアルゴリズムに還元できない」という仮説は、反人間機械論の例である。この仮説に従えば、自由意志はアルゴリズムとしての脳内過程を開始あるいは分岐させる動因である。3)機械としての脳と、動因としての自由意志は、分離することがあるのだろうか。臨死体験における幻覚では説明できない例や、前世体験で確証が得られる場合などは、自由意思が脳から分離する可能性を示しているように思える。この可能性を調査・評価することは、意思の問題を探るために極めて重要だろう。
Keywords:
意識、自由意志、神経パルス、ゲーデルの不完全性定理、臨死体験、前世体験

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.124)
人間の科学的探究が抱える問題 〜超心理学における懐疑論争〜
石川幹人
明治大学(日本、東京)
要旨:
人間科学の探究は、ひとつの測定変数に把握が難しい多数の要因がからんでおり、実験研究の再現性が低い問題がある。とくに本流科学に反する仮説を掲げる超心理学では、その問題が顕著である。厳密な実験によって仮説を支持するデータが得られても、懐疑論者は、企画上の欠陥、選択的報告、実験者の詐欺的行為などを理由に、実験自体を否定する傾向がある。超心理学では、百年来の取組みでそうした懐疑論に対処してきた。近年のメタ分析の技術は、選択的報告の問題を解決しつつある。今後は研究団体で実験を管理していく方法が期待される。
Keywords:
メタ分析、再現性問題、実験管理

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.125)
時間、空間、物質と意識
吉福康郎
中部大学工学部理学教室(日本、愛知)
要旨:
現代人に共通の世界観はおおよそ次のようなものであろう:この宇宙に実体として存在するのは物質だけである。あらゆる物質は素粒子で構成されていて、これらの素粒子が、空間を舞台とし、時間の経過とともに相互作用しながら運動することによって、あらゆる現象が生じる。詳しい人なら、素粒子の一部がさらに6種類のクオークでできていること、相互作用には、重力・弱い力・電磁力・強い力という4種類の力があることを知っている。
 この世界観に立つ限り、人間の身体特に脳が、いかに複雑で精妙な作用をするにせよ、物質であることに変わりはない。意識は脳の物質的活動に伴って生じるものであり、脳(ないしは身体)を離れた「意識自体」は存在しない。したがって、透視や遠隔ヒーリングなどのいわゆる超常現象や、臨死体験などに関連して語られる肉体とは独立の「霊」の存在は、科学的にありえない現象であり、それを証明したと称する科学的研究は、研究者の誠意とは別にすべて誤りである。
 この世界観を打ち破るため、最初に、空間と時間が一般に思うほど絶対的でないことを具体例で示す。次に、量子力学的に記述された素粒子はもはや「粒子」ではなく空間的に広がった「波」として振る舞うこと、さらに、実体を持った粒子あるいは波としての「何か」が、時間とともに空間を移動する、というイメージすら描けないことを説明する。最後に、(粒子を)観測するときの「意識」の重要性を指摘する。

[特別講演 1]
(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.126)
量子モナド論から見た世界の仕組み
中込照明
高知大学 理学部 数理情報科学科(日本,高知)
概要:
量子モナド論の描く世界モデルでは,われわれの住む世界には意識は唯一つだけ存在する.「私の意識」である.ただし,このようなそれぞれの意識を持つ世界が多数存在する.それぞれの世界がモナドである.モナド間には対応関係が存在する.いわゆる予定調和である.決定論世界の場合には対応関係は最初に一度だけ設定しておけば以後永久に対応関係は保たれ,単一の共通世界を想定しても問題は起こらない.しかし,モナドは意志作用を持つので非決定論の世界となる.そこで対応関係を維持するための機構が必要になる.さらに,対応関係が破綻する可能性も認める。このようにしてダイナミックな世界の描像が出来上がる。
物理学の二つの基礎理論である量子論と相対論は単一世界モデルで解釈されてきた.相対性論では本来 Lorentz 変換の数学的表現でしかなかった
Minkowski の四次元時空を実体として解釈し,その中に世界を位置づけたため,「今」が消えてしまい意識の入る余地がなくなってしまった.量子論もこの解釈を受け継ぐため,観測に現れる本質的非決定性を矛盾なく取り扱うことが困難になっている.
量子モナド論では相対性理論をモナド間の対応関係に関わるものと捉え,量子論はモナドの内部世界を記述する理論であると考える.これにより,意識と物理学の両立が可能になる.
Keywords:
モナドロジー,量子論,相対論,意識

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.131-132)

橈骨手首付近における脈波形の圧力依存性の検討

足達義則1、青木孝志2
1 中部大学経営情報学部経営情報学科
2 中部大学工学部情報工学科
要旨:
脈診は中国医学の四診(望・聞・問・切)の中でも重要な位置を占めているが、脈の取り方、見分け方については流派により諸説がある。また、見方は経験により定性的な表現で伝承されており、広く誰でも直ぐに診断に適用できるわけではなく、長い経験を経なければ適用できない。本研究では、脈診の規格化を目的として、コンデンサマイクロフォンを用いて手首橈骨付近で脈を取る時、マイクロフォンの押下圧力に対する脈像の変化に注目し、伝統的に言われている押下圧力に対する脈像の変化について検討を行った。その結果、圧力と脈像の変化に相関関係が存在することを見出した。
Keywords:
pressure dependence, pulse wave, condenser microphone, Chinese medicine, pulse diagnosis

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.137-139)
デスクワーク中に可能な運動として行う微小揺脚運動(貧乏揺すり):経絡自律神経活動の変化
青木孝志1足達義則2
1 中部大学工学部情報工学科
2 中部大学経営情報学部経営情報学科
要旨:
暗記や勉強を行うときは、室内を歩き回りながら行うと効果的であるといわれている。しかしパソコン作業などのデスクワーク中に歩き回ることはできない。デスクワーク作業中に可能な運動としては微小揺脚運動(貧乏ゆすり)が考えられる。しかし、これは歩行に比べたらエネルギー消費が非常に小さくなる運動規模の非常に小さい運動である。本研究では貧乏ゆすりが良導絡(電気的な経絡)の自律神経活動に与える効果をノイロメトリー法による皮膚電気反応測定により吟味した。被験者は22-23歳の健康な男子10人である。運動時間は4分間である。貧乏ゆすり前に4分間、貧乏ゆすり後に8分間のノイロメトリーを行った。貧乏ゆすり前に比べ運動後の初めの4分間は良導絡の皮膚電気伝導が上昇した。次の4分間に大略元に戻る傾向があった。従って貧乏ゆすりのような小規模な運動といえど、統計的有意に良導絡自律神経活動を活性化することが示唆される。また、良導絡自律神経情報系LH2および LH3に影響が大きく現れる傾向が見られた。逆に、LH5および LH6への影響は比較的小さい傾向があった。
Keywords:
knee jiggling, leg shaking, electrodermal activities, ryodoraku, neurometry, autonomic nerve systems.

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.152-163)
意識情報エネルギー医学−量子ホログラフィック原理に基づく健康学
奥 健夫
意識情報研究所(日本、滋賀)
要旨:
本研究では、量子論及びホログラフィック宇宙原理に基づき、人間生命体における意識を情報・エネルギーとしてモデルを構築し、心身の健康学を考察することを目的とした。ホログラフィック原理による全宇宙時空間に遍在する情報・エネルギーは、非局在情報に関わり、それが局在化した状態が個人の意識として認識されると考えられる。意識情報のフォトン的な光凍結から、量子脳理論による脳細胞内に発生するコヒーレントなトンネルフォトン発生により、脳波微弱電圧の発生、微量伝達物質の脳内化学合成−制御などが生じ、結果としてDNAから身体全体の健康に影響が及ぶと考えられる。非局在医療のメカニズムとして、虚数時間及び意識波動関数モデルを提案した。さらに第四世代医療として、人間の存在全体を癒す意識情報エネルギー医学−意識の健康学を提案した。特に個人意識は、希薄ながら宇宙全体の情報を含むホログラムであり、非局在情報との共鳴によりホリスティックな癒しが生じる可能性を示した。
Keywords:
consciousness, information, energy medicine, health science, quantum theory, holographic principle, nonlocal medicine, spiritual healing, synchronicity, psychosomatic medicine

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.166-167)

こころの癒しへの多面的アプローチの試み
−スピリチュアル・ヒーリングによる未来医療への架け橋

奥 健夫1、ウェサ キャサリン2、喜田 圭一郎3、所 れい4、小池 弘人5、高津 尚子6
西本 真司7、高松 佐和子8、辻内 琢也9、六浦 裕美10、深尾 篤嗣11
ジェイムスン スーザン12、間山 真美子13、藤田 依久子14、印藤 裕夫15、藤見 幸雄16
1意識情報研究所(日本、滋賀)、2ミネソタ大学医学部(アメリカ、ミネソタ)
3Healing Vibration Inc.(日本、東京)、4レイホリスティックサロン(日本、東京)
5小池統合医療クリニック(日本、東京)、6梅沢医院アンジェリカ(日本、大阪)
7西本クリニック(日本、和歌山)、8 (株) Rainbow of Light(オーストラリア、メルボルン)
9早稲田大学人間科学学術院健康生命医科学研究領域(日本、埼玉)
10関西医科大学大学院心療内科学講座(日本、大阪)、11洛和会音羽病院心療内科(日本、京都)
12ホリスティック・ヘルスケア(香港)、13鷺沼皮膚科(日本、神奈川)
14ハイデルベルク大学医学部 (ドイツ、ハイデルベルク)
15モナシュ大学日本研究所(オーストラリア、メルボルン)、16藤見心理面接室(日本、東京)
目的:
心身医学において大きな位置を占めている「こころの癒し」には、さまざまな研究と実践がある。本研究では、こころの癒しへの多角的アプローチの試みを行い、未来医療への指針を示唆することができた。
Keywords:
spiritual healing, spiritual medicine, spiritual care, healing heart, sound healing, music therapy, nonlocal medicine, integrative medicine, psychosomatic medicine, holistic medicine

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.168)
ストレス学説の生理状態を解除する生理機能の応用
石上博
福岡大学スポーツ健康科学部大学院 運動生理学(日本、福岡)
要旨:
ストレス学の元祖はWB.キャノン博士とハンス・セリエ博士であろう。二人の理論の共通点は、交感神経の興奮でアドレナリンの分泌亢進が著しいことを指摘した。また、ストレス状態は必死に走る運動の状態であると例えた。アドレナリンの分泌亢進が原因なら、抑制作用の交感神経抑制剤の投与をすれば良いではないかと誰しもが考えるが、それでは、ストレスが続く限り投与せねばならないことになる。また、長期使用の副作用は大きい。ジレンマがあり、つまるところ、早期健康診断が予防法となっている。
アドレナリンは運動をしているときは分泌されているが、止めれば通常30分以内で、元の数値に戻ってしまい、リサイクルされてしまう。それが、走る運動(ストレスが続くこと)を1週間、いや2週間、1ヶ月、6ヶ月、1年と長期になるならば、疲労物質乳酸のリサイクル機能は低下し、水素イオン濃度の上昇(血液の酸性化)で、酵素の働きが低下する危機的状況に、骨格筋は疲労状態になる。これらの情報が中枢に伝達され続くことが考えられる。そこで、@ アドレナリン分泌停止は、現在の侵害刺激医学理論で停止できる。A 筋の血液循環は筋ストレッチングで、改善できる。既に、運動終了後等に筋ストレッチングは広く行われている。以上二つの理論から、@Aを満足させる健康器具を開発した。結果は、理論通りにアドレナリンを停止させ、疲労度を減少させた。このことは、ストレス生理現象を止め得ることになると思う。毎日のストレスを帰宅後、使用することによって、疲労を溜めないでいられることになろう。開発したこの健康器は気管支を開くプロスタグランジンE2を、刺激で分泌させることで、アドレナリンを止めている。ニューヨークのテロ事件で、救助にあたり、喘息用呼吸疾患に陥った7千人の方々が苦しんでいると報道されている。この情報が彼らに届くことを期待している。

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, pp.172-174)

集団的宗教儀礼におけるField REG実験

蛭川 立
明治大学情報コミュニケーション学部(東京、日本)
はじめに:
物理乱数発生器を用いたミクロPK実験は、観測問題における観測者の意識の役割を考える上で重要な意味を持っている。著者らはブラジルと日本の集団的宗教儀礼(とくに治療儀礼)などでREG(RNG)を用いた「Field REG」または「Field Consciousness」の計測実験を続けてきた。本論文では、ある程度の肯定的な実験結果が得られていることを概観する。しかし、距離による効果の減衰や、参加者の人数との相関などの特性については、まだ明確な傾向は確認されていない。定性的には、REG出力の偏りが儀礼の「盛り上がり」に対応するかのように山形に上昇−下降するパターンがみられることがあるが、これは従来のPK実験における「下降効果」に類似している。そもそもField REG自体が探索的な性質を持った実験であり、今後、さらなるデータの蓄積と、適切な分析方法の確立が望まれる。
Keywords:
micro-PK, field REG, field RNG, field consciousness, religious ritual

[特別講演]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.175)
エネルギー身体と変性意識
上野圭一
翻訳家・日本ホリスティック医学協会副会長(日本、東京)
はじめに:
かつて医師のまなざしは、個々の患者と天体の動き、患者と自然の変化との関係、患者の空間的・時間的な人間関係、社会関係などを含む「大きな場」に注がれていた。そのまなざしがもっぱら皮膚の内側における物質的側面にだけ注がれ、皮膚の内側で生じている厄介な出来事として病気をとらえるようになったときに近代医学が生まれた。
めざましい発展を遂げ、人類に大いに貢献した近代医学ではあったが、「大きな場」へのまなざしが失われたことの代償は必ずしも小さくはなかった。
皮膚の内側における物質のふるまいだけに還元された人間は必然的に近代医学以外の世界に癒し(=全体性)をもとめるようになり、その欲求から代替医療や統合医療という枠組みが生まれる次第になったのである。
「大きな場」の中心に存在していたのは物質的身体ではなく、さまざまな名称で呼ばれていたエネルギー身体であった。そのエネルギー身体のありようを、変性意識との関連で探ってみたい。
Keywords:
エネルギー身体、energy bodies、変性意識状態、altered state of consciousness



[ワークショップ]

(J. Intl. Soc. life Info. Sci. Vol.25, No.1, p.177)

愛と光のスピリチュアルダンス第3回
―TDMS2次元気分尺度を使った気分変容に関する効果測定をともなって

尾崎真奈美
東海大学 文学部心理・社会学科(日本、神奈川)
意識情報研究所(日本、東京)
要旨:
本来の自分になること、スピリットとの一体感、あるいは悟り、至高体験といわれるようなトランスパーソナルな体験は、身体を通じて自覚されることも多いものです。このワークショップでは、グループワークを通して心と身体をほぐし、本来の自分・トランスパーソナルセルフ・魂に向かいます。手法としては、サイコシンセシス・フォーカシング・超越瞑想・ヨガ・表現アートセラピーなどに共通した呼吸法や・イメージワーク・ムーブメントなどを使います。愛と光に包まれた一体感を経験していくことができたらいいなと考えています。
スピリチュアルな側面に向かい光と一体化することは、シャドーを無視することではなく、むしろ、それをいとおしくやさしく抱きしめることによってはじめて可能となることです。前半は、グループの場でお互いに支え見守りながらシャドーに気づき、表現することを試みます。後半は、アロマ・音楽・花などの力を借りながら、自分の中にあり、またあらゆるものの中に宿っている、光・真実・美・愛・喜びの中心に、動きを通じてフォーカスしていきます。
トランスパーソナルな深い体験は、時々はまりすぎて危険になることがありますので、予防するために、短時間の講義もいたします。また、体験のあとにはシェアリングと、デブリーフィングにも時間をとりたいと思いますので、安心して動きやすい格好でご参加ください。
ダンスの効果測定として、2次元気分尺度によるアセスメントを体験の前後でいたします。これは覚醒と、快―不快を軸とした心理モデルにより作られた尺度(坂入ら2003)で、短時間で記入できセルフコントロールの指標として使えるものです。データは匿名で回収させていただき、統計処理を行い、次回シンポジウムで研究発表させていただくことを考えています。
Keywords:
スピリチュアリティー・トランスパーソナル・光・愛・ダンス・自己実現・シャドー・イサドラダンカン・2次元気分尺度

International Society of Life Information Science (ISLIS)
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Last Modified: April 30, 2007